2023年度 公益社団法人 いわき青年会議所
第19代理事長 高橋 大吾
 

2023年度いわきJC基本理念
故郷に希望を示し、誰もが前向きに生きるいわきを創る

 

2023年度いわきJC基本方針
1.多様な会員が共に活動できる柔軟な組織運営
2.前向きな心を持った次世代に繋がるリーダーの輩出
3.子どもたちの自信と成長につなげる機会の提供
4.いわきを一つに繋ぐ希望のシンボルの浸透と発展
5.災害に対応できる組織体制の構築
6.未来の故郷と JC の在るべき姿を描く

 

2023年度スローガン
自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ

 

【はじめに】 
 私はこれまで、故郷を持たずに生きて来た人間です。生まれは東京ですが、石川県、埼玉県、東京都、神奈川県など、様々な土地を転々としながら生きてきました。いわきに暮らすようになったのは 2010 年の事で、それまでこの地に縁もゆかりもありませんでした。そのような人間ですから、これまでの私にとって、故郷という言葉はどこか虚ろで、実感を伴わないものでした。しかしいわきで仕事をし、いわきで暮らし、JCI いわきに入会させて頂いて、多くの先輩、メンバーと交流させてもらう中で、人との関係性を通して初めて自分の中に帰属意識が生まれました。見ず知らずの自分に根気強く声掛けてくれた先輩がいました。事業が構築できず苦しんでいるときに、支えてくれた同期がいました。私にとって故郷という言葉は、いわきに来てから通じあった多くの人との関係性と、帰属意識の中にあります。そして今、理事長職を拝命するにあたり、自分なりの郷土愛として、いわきと JCI いわきという組織に恩返しをしたいと強く思います。
 我々の故郷いわき市が合併により誕生して 57 年。人口は 1998 年をピークに 20 年以上も減少を続け、若年層の転出数は福島県の他都市と比べても多く、生産年齢人口は急激に減少し、様々な社会的資源において都心と地方の格差は大きくなるばかりです。このような逆境の中で JCI いわきは、どのような組織であるべきでしょうか。我々はこの故郷を守り、誇りを持てる場所とするため、決して夢を忘れず、前向きな心を持って故郷に希望を示す組織であり続けましょう。それこそが他のどの団体にも出来ない JCI いわきの運動であると信じます。

【全ての会員が運動に向き合える柔軟な組織運営】
 青年会議所の強みとして挙げられるものの一つに、多様な背景をもった人財があります。建設、金融、製造、飲食、観光、行政、インフラ、広告など、青年会議所のメンバーが抱える多様性は、我々が運動を展開する上で無くてはならない重要な力です。JCI いわきに結集する個々人は、それぞれ異なる環境と背景を持っています。我々は故郷いわきのために、その持てる力をしっかりと発揮できるよう、全てのメンバーが前向きに JC 運動と向き合い、
活動できるような柔軟さをもった組織を創り上げなければなりません。コロナ禍により対面での活動が大きく制限される中でも、我々は様々なツールを駆使しながら、組織を運営し運動を発信して参りました。そこで得られた知見やノウハウを存分に活かし、全ての会員が自分の職務と向き合い、その職責を果たすことができる組織を創り上げて参りましょう。

 

【次世代を担う地域のリーダーの輩出】
 JCI いわきは、その統合前の五つの JC の想いを汲みながら、いわき市を守るべき故郷とし、いわきを支え盛り立てる地域のリーダーを数多く輩出して参りました。JCI いわきに所属し活動する事で地域への貢献を学び卒業した諸先輩方が、このいわき市で活躍していらっしゃいます。脈々と続いて来たこの流れは、決して途切れさせる事無く、継続していかなければなりません。しかし現在、JCI いわきの会員数は減少を続け、合併当初からその数を大きく減らしています。この傾向に歯止めをかけるために我々は、JCI いわきの運動が故郷に希望を示し、人々を前向きにするものであるという事を、メンバーはもとより、広く市民に伝えていく必要があります。そうする事で我々と志を同じくする青年が集まり、故郷に希望を示す原動力となっていく事でしょう。
 また、JCI いわきが直面する課題に在籍年数の短期化と、それに伴う組織体制やルール、そして JC 運動への理解度の低下があります。全国の青年会議所の平均在籍年数は 4 年とも言われ、JC について理解を深め、その力を発揮できるようになる頃には卒業してしまうケースが多くあるのが現状です。この課題を解決するためには、長期的に活動できるメンバーの獲得は当然のこととして、短期間の在籍期間においても JC について学べるよう、研修をこれまで以上に強化していく必要があります。JC の理念や存在意義、組織体制といった運動の根幹にかかわる部分を心から理解できるよう、工夫を凝らした研修を行って参りましょう。

 

【未来を生き抜く力を育む】
 我々は、その中期ビジョンであるグランドデザインにおいて、子どもたちに未来社会を生き抜く力を身に着けてもらう事で、故郷の未来をより良いものにしていこうとしています。未来社会は AI やロボット技術の急速な発展により、これまで当たり前と考えられて来た社会構造が大きく変化していきます。既にその兆候は表れ始めており、アドレスホッパーと呼ばれる定住しない人達の出現や、会社に一度も出社しないで在宅で働く社員、店舗を持たない料理店など、その変化は急激であり、対応する事はもとより、予測する事すら困難です。以前は AI によって代替される事はないであろうと考えられていた、文学や音楽、絵画といった芸術分野においてさえ、既に小説や絵や音楽を自動生成する AI が登場しています。このような急激な社会変化の中で子どもたちが生き抜いていく為の力とは、未来を予測する力ではなく、次々に現れる変化に対応し、問題があってもしなやかに乗り越える力、レジリエンスであると考えます。この力を育むためには、子どもたちが何かに対して真剣に興味を持ち、手探りでも失敗を恐れずチャレンジしていくような環境を創り、子どもたちが多様な体験をする手助けをしていく事が重要だと確信します。我々の力でいわきに暮らす子供たちに、そのような機会を提供して参りましょう。そして子どもたちを育てる親を含めた地域社会に対し、多様な体験の重要性を発信し、子どもたちに多くの成長の機会を届けていきましょう。

 

【まちづくりのシンボルの進展】
1966 年に 14 市町村が合併し、いわき市は広大な一つの都市としてその歴史を刻み始めました。我々JCI いわきは、その創立宣言文にもある通り、この広大な都市を共通の故郷として、まちづくりを行って参りました。JCI いわきがこれまで続けてきたまちづくり運動は、復興と共生、震災の風化防止、そしていわきに暮らす人々と力を合わせた共創のまちづくり、とその趣旨を時代に合わせて変化させながらも、綿々と続いています。2022 年度においては、いわきの他団体との連携により、JCI いわき単体の事業を超えて、いわきに暮らす人々とともに創る「共創のまちづくり」のシンボルとして、いわき市全体を繋ぐ新たなフェイズに入りました。我々はこれを受け継ぎ、更に大きな運動として、多くのパートナーと共に成長させて参りましょう。そしていわき市の未来を担う多くの人々にまちの活性化に関わって貰い、その心にいわきという故郷への愛着と、まちのために何かを出来るという希望を持ってもらいましょう。

 

【災害に対応できる組織構築】
 いわき市は東日本大震災、令和元年東日本台風など、様々な大災害に見舞われてきました。その中で JCI いわきはそのメンバーの多様性と全国に展開するネットワークを活かし、市民の助けとなるべく様々なボランティア活動を行うとともに、市民に防災減災の意識を啓発し自助の力を高める一助となるよう、故郷のためにその力を使って参りました。悲劇的な災害を体験した我々だからこそ、災害時に利他の精神をもって他者を助ける備えを怠ってはなりません。JCI いわきと災害時の支援協定を結ぶいわき市社会福祉協議会及びいわき市と緊密に連携し、有事に際して取るべき行動を明確にすると共に、防災、減災の意識を持ち続け災害に強いまちづくりの一翼を担えるよう、力を高めて参りましょう。

 

【日本青年会議所および各協議会との連携】
 JCI いわきに所属するメンバーは地域のリーダーとして、常に社会情勢に触れ、最新の情報、考え方を取り入れ、学び続ける姿勢を持たなければなりません。そしていわき市内に留まるばかりでは、表面的な情報は手に入れられても、最先端の深い学びは中々手に入らないのが実情であると考えます。我々は地域を支えるリーダーとして、また自分自身の成長のために、日本青年会議所や東北地区協議会、福島ブロック協議会が提供する情報を自ら取りに行き、触れ合い、メンバーと共有していくべきであると考えます。我々がそのような姿勢で学ぶ事で初めて、青年会議所のネットワークと、そこから得られる機会を実感できるのではないでしょうか。目の前にある機会を最大限に活かし、自らの学びに変える事で、メンバー個々人の成長とし、その成長をまちの発展に活かして参りましょう。

 

【20 周年に向けて】
 2024 年、JCI いわきは創立より 20 年の節目の年を迎えます。先輩方が 5 つの青年会議所の統合という選択をしてから今年で 19 年、JCI いわきは平、勿来といった方部単位のまちづくりから離れ、広大ないわきという都市を舞台に、運動を展開して参りました。20 周年を目前に控え、我々は、方部を離れた JCI いわきとしての運動をしっかりと振り返り、その意義と目的を今一度学び直しましょう。そして、いわきを先導する先駆者として、まちの未来を描く旗手として、これからの JCI いわきが描く 10 年先の未来を内外に示すこの大きなチャンスを活用し、大いなる志と野望を持って、自由な発想と情熱とともに、未来に向けて夢と希望を描きましょう。そして我々が想い描く理想の未来に向かって、会員が一丸となって挑戦して参りましょう。

 

【結びに】
 JCI いわきに所属する方は皆、多かれ少なかれ何らかのポジティブな変化を求めているはずです。故郷を良くしたい、自分を成長させたい、そんな想いがあるはずです。我々が求める前向きな変化は、自らの前向きな行動によってしか手に入りません。自分が住む故郷を愛し何かを変えたいと望むなら、自分を愛しより良い人間に成長したいと望むなら、自らが行動しなければなりません。その想いを込めて、本年度のスローガンに「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」という言葉を掲げさせて頂きました。
 我々が前を向き自ら行動する事で、まちにも、自分自身にもポジティブな変化が訪れるはずです。未来に希望を見据え、誰もが前向きになれる未来を創り上げて参りましょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA